棚にずらりと並んだトマトソースの缶詰。シンクに吊り下がったワイングラス。たくさんのプレートやディッシュにカラトリー。リノベーションで誕生したのは、ちょっとしたバルの厨房のような空間です。このマンションのオーナーであり“シェフ”は、海で釣った魚を調理して友人らに振る舞うのが趣味というシングル男子。そんな時間を大切にしていただくため、特にこだわったのが腕をふるうためのダイニングキッチンでした。
家庭のダイニングキッチンではなく飲食店のデザインを参考に、壁、タイルとも濃紺でまとめることで落ち着いた空間に。さらに厚みのあるダイニングカウンターは実はフローリングとして使う栗材。岩手県岩泉町の間伐材を採用しました。喫茶店のテーブルのような風合いで、やわらかく味わいのある木肌が、気兼ねなくくつろげる雰囲気を醸し出します。
「僕はNPOやエコにとても関心があるので、素材の持つ物語性が自分の家に使うのにふさわしいと思い、とても気に入りました」と話すオーナー。そうして完成した、友人と過ごす楽しい時間を大切にしたリノベーション・マンション。次の週末も、素敵なお料理がここで振る舞われそうです。
BEFORE
ビンテージに手が届きそうな築46年の中古マンションをリノベーションしました。ワンルームにしては窓が多く、そこから見える景色も物件購入の決め手でした。
スケルトンにしてみると、床のコンクリート高が不揃い。しかしもともと抜いてあった天井が高く、開放感があったためそれを活かし、床をできるだけ上げずに仕上げました。
さらに天井と梁の白い塗りはそのまま活かし、塗りの風合いに合わせた壁紙をセレクト。空間に統一感と抜け感を持たせています。
また、水廻りはすべてエントランス側にまとめられていましたが、リノベーションの際にプランの要としてダイニングキッチンを部屋の中央に移動。料理好きのオーナーならではの空間に生まれ変わりました。
