竹久夢二が暮らした八幡の地に思いを馳せて

マンション  /   エリア:福岡県  /   掲載日:2019-08-30

マンション  /   エリア:福岡県

掲載日:2019-08-30

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 和の表現と魅力をテーマにはしましたが、現実的には本格的な和の装飾には職人の技術とそれに係る費用が格段に高くなってしまいます。そこで和の技法や良さの部分は継承しつつ、和のデザインを取り入れる事で予算とのバランスを実現。具体的には壁面やフローリング材はオール杉材で、リビング空間は塗り壁や腰壁には杉材の鎧貼を用いたり、昨今ではあまり使われることがない雪見障子も採用し、玄関から真っ直ぐ伸びる廊下と書斎を窓で繋いでみるなどの空間づくりを実施。また、リビング正面には、組子文様のデザインを採用し、伝統技術を簡略化しつつモダンな要素をもたせたオリジナル「三つ組手」パネルを配置した。
 明治のアーティスト竹久夢二がもしこの部屋に住むならやはり制作に没頭する部屋は必要だろう・・と考え、室内には書斎空間を設置。さらにグラフィックデザイナーとしても優れていた彼が自分の部屋を装飾するならと考えた結果、雑誌「民謡音楽」の表紙絵で用いた三角リズムの壁紙を各個室やリビングに採用。
 装飾としては趣味性を高めましたが、現実的にはこの物件は家族で住むことを想定していたこともあり、室内の間取りは3LDKを確保。リビングとダイニングを繋げて広々とした空間演出を行うことをしなかった分、逆に仕切られた空間が心地よいプライベート感をつくり、まさに障子や襖で仕切られていた日本家屋のような安心感をもつ部屋が出来上がった。

BEFORE


before image

 平成9年築の比較的新しいマンションの再販リノベーション。SRC造14階建11階部分、広さも84.27m²とファミリーで住めるサイズ感。ただ、周辺には近年新築マンションが幾つか建っており、ただリノベーションをしただけでは魅力にかける中でテーマを探していた時に、マンションからほど近い枝光という地域で毎年「夢二まつり」というイベントが行われているのを知りました。明治に活躍していた詩人で画家の竹久夢二は若い頃、八幡村(現在の北九州市八幡東区)に家族で移住し八幡製鉄所で働いていたそうです。そこから日本の近代グラフィックデザイナーの草分けでもあった彼に想いを馳せたプロジェクトがはじまりました。近年のリノベーションにおけるデザインテイストはどちらかといえば北欧やカリフォルニアなど海外の要素を模したものが多いですが、だからこそあえて日本ならではの「和」の魅力に挑戦してみました。

Before

After

    • 部門
    • 1000万円未満
    • 間取り
    • 3LDK+2S
    • 費用
    • 700万円(税込)
    • 形態
    • 再販モデル
  • 費用に含まれるもの
  • 居室・その他 / 断熱改修 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 備品関係

物件情報


    • 築年月
    • 1997年4月
    • 構造
    • SRC造
    • リノベーション面積
    • 84.27
    • 施工期間
    • 2ヵ月
    • 備考
    • 設計・施工;株式会社ヴィリオ プロデュース;OLDGEAR 株式会社ヴィリオ×OLDGEAR コラボ作品

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