立地は良く、新耐震基準でもある為、再販物件として申し分のない物件だと思われる。ターゲットに設定したのは30~40代の単身女性。「女性らしく」というワードから見えるイメージは“明るい、清潔、ナチュラル”のようなイメージが多数派。『本当にそれでよいのか?』を投げかけてみた。打放しの天井にステンレスや黒い什器は一見、男性的なマテリアルだがむしろ女性にこそマッチする素材だと思う。それは“花”や“アート”など有機的な飾りを好む女性にとって、このマテリアルで構成された空間こそが女性らしさを表現できる、有機的×無機質の相乗効果が生まれるものだと思う。玄関にはアートワークを施し、一面をミラー張りにすることで空間には豊かさへの“気付き”とその広がりを見せることが出来る。寝室はガラス張りにすることでシンプルな構成ながらもラグジュアリーな体感を覚え、リビングへの採光も確保する。単身女性はキャリアを積んでいることも考えられるので夕刻以降の時間=ゆとりの時間に照明やアートの存在感が最大限に発揮できるようにした。洗面室はホテルの様な佇まい、続くウォークインクローゼットは当然、機能的な動線になる。一見“男性的”な空間だが内覧を開始し、一番反応が良いのは狙い通りの単身女性である。この再販リノベーションは“男性的”“女性的”という既成概念を覆した。
BEFORE
築約33年の新耐震のマンション。中部屋であるが故に細長い間取りであった。さらに、窓が両端にしかなくどこか薄暗い印象を与えていた。