商業施設群まで車で5分、最寄り駅まで700mの位置にあり、高齢の方でも住むに申し分ない立地です。近隣住宅も100坪を超える立派な民家ばかりで、その景観と佇まいに寄り添うように改装したいと思いました。
まず、躯体のみを残した完全なスケルトンにし、耐震設計に基づき耐震改修から工事が始まりました。
居間から縁側、庭まで連続して抜けた空間を、ウッドデッキを設けカフェ風にアレンジし、風呂、トイレ、脱衣場、台所などは、将来を見据え広く設計しました。
耐力壁をたくさん作る必要があったことから、窓が少なくなったので、光を遠くに運べるよう光沢のあるフローリングにしました。
何年も買い手が付かず放置された家でしたが改装後すぐに、農家ではない新しい住まい手が決まりました。「建物を次の家族へ」その橋渡しがリノベーションの意義だと思います。
BEFORE
新潟ならではの稲作農家が集まる地区にある8DKの納屋付き農家住宅。農家を継ぐべき長男は東京へ行って戻る気は無し。
傾き、雨漏りし、シロアリの被害に悩まされ、買取再販業者からも「解体更地売りしかない」と断言されたお家。
しかし、トイレの増築や瓦屋根の塗装など、幾度となく手を加えられながら大切にされてきたであろうこの家は、まだそこに在り続けたいと私たちに訴えてきたのでありました。