SHOGUN Castle

マンション  /   エリア:福岡県  /   掲載日:2019-08-19

マンション  /   エリア:福岡県

掲載日:2019-08-19

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renovation image

日本初立体交差駅を支えた橋梁煉瓦跡。神社境内の大楠。街の変遷を見守ってきた物と進行形の再開発事業が駅から歩く6分の道程に共存する。それらを見おろす本件マンションが私には現代の城に見えた。
四方を望む100㎡超えのルーフバルコニーが備わる専有部分を城の天守閣と捉え、リビング横の変哲の無い和室を残し、この家の主人「将軍」の特別室として活かすリノベーションがスタートした。だが現実は6畳の和室。どのようにして存在価値を高め和室再考の機会を創出するか問答した。
6畳と限られた空間で無限の奥行きと物語を創造させるため「国宝絵巻現状模写」を手掛けた東京藝術大学大学院日本画専攻の画家4名に壁面・天井面用に計4面の原画描き下ろしを依頼。2日がかりで特殊スキャンし壁面転写。原画と壁面は世界に1点ずつしか存在しないものとして4面の作者全員に現地で落款を頂き、物語に息吹を与えた。日本人特有の繊細さと麻紙・岩絵具・金箔などの伝統具を用い完成した日本画、職人技が融合した和室。そして稀有なポテンシャルを独自解釈しリノベーションにより新たな機能と造形美を加え昇華させた空間。
3方向角住戸の恩恵である自然光の美を活かし、和室以外の居住空間は地中美術館のように無機質な空間とし、絢爛な和室と対比させる形で双方の魅力を引き立たせた。東京オリンピック前年の今こそ日本のリノベーション美を世界に誇り発信し後世に残したい。

BEFORE


before image

近年分譲マンションにおいては床の間や長押を省略した簡略的な和室が大半を占め本件も同様にリビング横に形式的な6畳和室が存在した。
内装は地場ディベロッパーの大量生産・大量販売に即した仕様であり、棟内で本物件だけが兼ね備える100平米超のルーフバルコニーに呼応する特別感や洗練さは無く、汎用な印象の室内空間であった。
最寄駅「JR折尾駅」では再開発事業が進行し、本マンション周辺も同地区総合整備事業に絡み道路や区画が整備され、近隣エリアには高校・短期大学・大学・北九州学術研究都市などが点在し外国籍の教員や留学生が多数いる事などから、ルーフバルコニーの特別感に日本美の魅力をプラスした和室を創り、国内のみならず世界向けに注目されるリノベーションを発信する事で地域が再注目を集める契機になればと考えた。
マンションリノベにおいて軽視されがちな「和室」再興への挑戦が始まる。

Before

After

    • 部門
    • 1000万円未満
    • 間取り
    • 4LDK
    • 費用
    • 850万円(税込)
    • 形態
    • 再販モデル
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 日本画(7点)・家具

物件情報


    • 築年月
    • 2000年11月
    • 構造
    • SRC造14階建
    • リノベーション面積
    • 97.80
    • 施工期間
    • 60日
    • 備考
    • 画家:岩谷晃太・杉本純久・神谷渡海・中西智美 建築デザイン:OLDGEAR 施工:パナソニックリビング九州株式会社 特殊印刷:グランド印刷株式会社

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