逗子「山の根」エリアに建つ、祖父母の代から続く築70年の木造戸建住宅。

家族構成の変化により増築したり、火事により平屋に減築したりしながら、これまで愛着を持って住み繋いできた。
今回は子供たちがのびのびと駆け回れるような、開放的なワンルームにリノベーション。

耐震補強や断熱などの性能向上に割り切り、大空間に必要最低限の造作家具のみを設けた。

構造に関しては評点を0.12から1.68（耐震等級3）まで向上し、断熱に関しては高性能サッシへの交換や断熱材の充填により温熱環境を高めた。

「2階建だった時の床組」「火事のスス」「変な位置にある柱」「少し歪んだ木建具」
贅沢さはないし、ちょっとクセがあるけれど、あるものを活かして豊かに暮らす。
自分の思い通りに作りすぎない、リノベーションの醍醐味が詰まっている。

ファサードの外塀は低くカットし、ご近所コミュニティを活かしたオープンセキュリティを実現。
外と繋がる開放的な空間は「公民館のような家」としてご近所に愛され、毎日のように近所の子供達が集う居場所へとなっている。

その土地や家族、家の記憶を紐解き、既存のものとうまく付き合いながら更新していく。

操作は最小限にし、素材は最大限に引き出す。
「表層的なデザイン」から「デザインしないデザイン」へ。