本物件は、内装の老朽化を復旧せずに売り出されていた物件。一目見ては、購入をあきらめる方もいただろうと想像がつく。
しかしながら、リノベーション前提で見ると、この状況は好条件。現況渡しというところがポイント。さらに希少性のあるメゾネットタイプであろことも購入を後押した。
クライアントからの「本」「料理」「家事動線」というキーワードをもとに、旧8DKだった間取りをスケルトンにしたうえで、新たな壁の設置や水廻りの拡張を行った。浴室の壁を隔てた北側の区画には、洗濯専用の部屋を作り、外気に直接晒さず室内干しが可能になる。手洗い洗濯用の流しを設置したことも特徴的。
メゾネットタイプは、部屋の中に専用階段があり、フロアが2層に分かれている珍しい構造。その特徴を活かし、下層部分に玄関、トイレ、LDKを作り、上層部分にランドリールーム、浴室、寝室、子供部屋、書斎を設定。マンションなのにプライベートな空間を上層と下層とで明確に区画できることから、2階建て戸建てに近い感覚で生活できるメリットが大きい。
このリノベーションで特に話題となったのは、幅広く背丈より高い本棚。寝室と書斎の間に本棚が立つ。本の量やサイズによって境界の密度が変わり、完全に遮断してしまわず適度に気配を感じる仕切り壁として存在している。
BEFORE
築39年のメゾネットタイプのマンション最上部13階~14階部分。
熊本市中心市街地まで徒歩圏内の好立地。内装の老朽化によって、空き家となっていた部屋。