私たちにはポリシーがある。住人が想像できない空間をつくること。無限を秘めていることである。
以前、知り合いの画家と話した際に彼らの表現に無限性を感じた。それまで芸術はややこしいものと思っていたがそうではなかった。当たり前に暮らしの中にあっていいものだと。絵画という芸術から与えられる純美な世界を今こそ住宅に取り入れるべきではないか。そして、リノベーションが唯一それを可能にしてくれるはずだと。
壁構造の本マンションはそういう意味でも面白い素材であった。間取りの変えられない２つの物件。
１つ目は「絵画のある暮らし」をコンセプトに、絵画を飾って楽しめる美術館の要素を取り入れた。絵画は日本画のアーティストに、人参や椅子といった生活に馴染むモチーフで8点の作品を描き下ろしてもらった。
２つ目は「Bonjour」をコンセプトに、パリのアパルトマンをイメージしてモールディングや金色装飾などをデザインした。
フェミニンな雰囲気を表現するために、水彩画のアーティストに春夏秋冬の花々の絵を3点描き下ろし、特殊技術で壁画として誕生させた。2つとも壁構造の反転間取りではあるが、全く違う世界をつくることが出来た。
アーティストの来福イベントも盛況となり、消費者の関心の高さにも触れることが出来た。
過ごす時間を、紡ぐ言葉を、感性を。建築と芸術が織り成す無限の空間美を通して育んでもらいたい。