リノベーション事例

2020.09.23

原点回帰リノベーション 人の手で蘇る『心の場』

  • 関西
  • 戸建
  • 家全体

株式会社河原工房

古民家の定義はない。『1950年以前に伝統構法を用いて建てられた民家』と仮に定義させて頂く。日本に現存する最古の古民家は、室町時代まで遡り、1200年の時を経ても存在する普遍妥当な住まい。釘や金物を使わない木組みで建てられ、華美な設えをしない、自然に逆らわず成り行きを良く取り入れている世界最古の木造住居と言える。しかし、この古民家の価値を多くの人が知らない。築130年になるH氏の生家も、伝統構法で建てられた古民家であった。H氏がアトリエと居を沖縄に移すにあたり、主のいない古民家が問題に。原点に戻れる場所を無くしたくない。地域文化である古民家だからこそ伝えなければいけないものがある。神戸市有形文化財に登録されることにより、その想いは、確かなものとなる。古民家に詳しい河原工房との出会いで、活動を共にする事に。この古民家を「ゆがふ舎」と命名。支援・参加者を募り、復元への取り組みをスタートさせた。

リノベ―ションとは、手を加えて良くする事とある。しかしこのリノベーションの意義は、少し違う。加えられたいらないモノを取り除き、本来のあるべき姿に戻す事で、先人達の価値観に出会う事ができるリノベーション。足す事も、引く事もない『0』。原点に戻す、原点回帰リノベーションである。

このリノベーションの特徴は、現代のモノを排除し、土間や囲炉裏、かまどの復元等、本来の古民家の姿に戻す事にある。その為材料等は、極力地元のモノや古材を活用。加工する道具も、『やりがんな・ちょうな』といった古道具を使用し、手仕事に拘った。そして何より、卓越した技能者による技術指導を行いながら、作業の多くは、一般の人が集い、手作業で行ったDIYにある。そして、この古民家を『ゆがふ舎』と命名し、生きた教科書として、復元作業を行いながら地域文化や手仕事、正しい古民家の価値などについて学ぶ『ゆがふ塾』を開講。現在も活動を続け、誰でも、集える『心の場』として、開放している。

H氏は言う。手仕事というものには、人が生きている証がある。手仕事で造られたゆがふ舎は、『心の場』なんだ…と。そして、この時代だからこそ、『場』が必要で、若い人にこそ来て欲しいと思う。都会に住んでいて、田舎のない人や、若い人が、気軽に集える『場』。ゆがふ舎という場は、古民家に触れる事で、自分の価値観を見直し、考えられる場所であるから。

費用 物件種別 一戸建
リノベーション
形態
その他 家族構成 その他
築年数 134年 面積 45.13㎡
施工期間 5年

間取り

BEFORE 復元前

AFTER 復元後

お問い合わせ先

株式会社河原工房

〒569-1142 大阪府高槻市宮田町2-1-29 サンワビル102号

TEL:072-677-4586

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